「善意」と「悪意」について

私法の世界では、「善意」と「悪意」という用語が出てきます。通常、「善意」とは「善人の意」的な、ある種、肯定的な意味で使われますよね。で、「悪意」をその逆。

この「善意」と「悪意」、民法の世界でも対概念ではありますが、一般社会生活で使用されるその意味合いは全然違います。

民法で言う所の「善意」とは、『その行為について知らなかった』という意味で使われます。
「悪意」は、『その行為について知っていた』になります。

「善意の第三者」って聞いたことありますか?

例えば、AさんBさん間で土地の売買契約が成立したとすれば、この二人は当該契約の当事者となります。譲り受けたのがBさんとして、そのBさんが譲り受けたものをCさんがほしいと思って、さらに転売してもらったとしましょう。
このときのCさんが「第三者」にあたり、CさんがAさんBさん間の契約事の真意について知らなければ「善意の第三者」となります。
そして、AさんBさん間の契約について、何らかの真意について知っていれば、「悪意の第三者」というわけです。

民法上でなぜ「善意」「悪意」で分けられるかというと、「善意」「悪意」の差が民法上、法的に保護されるか否かが変わってくる場面があるからです。

民法という法律は、非常に柔軟性があるというか、同じ事例でも左から見たら適法であっても、右から見たら違法である、ということが間々あります。

先の例で言えば、AさんBさん間の土地売買契約が2人の通謀による仮装売買だとしましょう。これは民法94条によって無効の土地取引となります。(参照 民法94条:虚偽表示

無効ですから、この土地取引はなかったことになるわけですが、それではCさんは土地の所有者でないBさんから譲り受けることはできないわけです。それでは、Cさんには酷な話です。

そこで、この仮装売買について何ら知らない第三者のCさんを法的に保護すべきという価値判断が働きます。仮装売買であるということを知っていながら取引に入った第三者(悪意の第三者)は法的保護には値しないが、知らなかった場合はAB間の仮想取引を有効な取引として、善意の第三者を保護していこうというものです。(民法94条2項)

このように、民法とは状況によって柔軟になっていくわけですが、その根拠として「善意」「悪意」という区分けがなされることがあるということです。

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