え?落札物が滅失?どうなるの?

ある人が、それは高価なヴィンテージ・ジーンズをネットオークションで落札したとします。

落札後のやり取りの中、落札者は「明日から1週間出張なんです。出張先から落札額は振込みますので、発送は一週間後にお願いして宜しいですか?」と、出品者にお願いしました。

正直、あまり気が進まなかったのですが、不在なら仕方がないし、高価な物を落札してくれたんだ、この程度のことはしなくてはと、承諾しました。

この時点で、落札後の取引のやり取りはしているし、法的にも売買契約は成立していると見ていいです。

事態は急変します。この翌日、出品者の家が隣家の火の不始末で消失してしまいました。預かっていたヴィンテージ・ジーンズも・・・1週間後、やっと連絡がついた落札者に事の顛末をすべて話しました。そして、数日前に入金があった落札額に話は及びました・・・

「気の毒ではありますが、あのお金・・・返金しませんから」落札者はキレるが、これ、どっちの主張が通るのでしょうか?

落札者には気の毒ではありますが、法は出品者の主張を保護します。落札したジーンズ、この場合、法的には「特定物」と呼ばれるものになります。

そして、特定物の場合、債務者(この場合はジーンズを引き渡す義務のある出品者)の責任でない特定物の滅失は、その負担は債権者(ジーンズを譲り受ける権利のある落札者)となるんです(民法534条1項「危険負担の債権者主義」)。

要するに、ジーンズの代金は、支払わなければならない、ということです。火事のなったのは出品者の責任ではないし、滅失してしまったのも不可抗力だと言えよます。モチロン、ジーンズの滅失が出品者の責任によるものだったら話は別ですが。

落札者は、契約の解除(民法543条)か損害賠償の請求(民法415条)が出来ます。出品者は別に悪者ではありません。法律知識がたまたまあった、と言うだけの話です。

実は、似たような話、数年前に知人が経験しています。その時は、知人は落札者であり、ヨーロッパの有名な陶器メーカーの置物を落札した時にこれとほぼ同じような経験をしています。結果はもちろん一緒で、弁護士にも相談したが仕方がないとのことだったそうですよ。5万円弱を損した形になります。
出品者も自分の権利を主張しただけの話。確かに、落札者である知人は気の毒だと思いますけどね・・・

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2009年1月20日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:債権

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